最小回転半径の計算は、軸距(輪距)の変更となる改造や、操縦装置の変更を行った際に必要となる計算で、該当する審査事務規程はこちら、保安基準はこちら に記されております。
最小回転半径の計算
最小回転半径の計算の公式は、その車両の形態により計算の公式が幾つか存在するのですが、ここでは
前一軸二輪(かじ取り軸)、後一軸二輪の車両 ・・・乗用車等4輪車
前一軸一輪(かじ取り軸)、後一軸二輪の車輌 ・・・トライク等三輪車
連結中心が後軸より前方にある連結状態の車輌 ・・・セミトレーラ等
連結中心が後軸より後方にある連結状態の車輌 ・・・第五輪で連結されないトレーラ(ボートトレーラ等)
について解説します。
前一軸二輪(かじ取り軸)、後一軸二輪の車両
必要なデータは以下の通りです。
軸距(ホイールベース) L 、前輪輪距(トレッド) Tf 、外側車輪のかじ取り角度 α 、内側車輪のかじ取り角度 β
かじ取り角度は、直進状態を 0° とし、絶対値により算出し、トレッドやホイールベースを mmで入力した場合、算出される数値も mm 単位で算出されることとなります。
これより、最小回転半径 R は、
・・・α、βはラジアンに変換後計算
?度をラジアンに変換するには、
ラジアンを度に変換するには、
算出された R は、12.00m 以下でなければなりません。
前一軸一輪(かじ取り軸)、後一軸二輪の車輌
算出に必要なデータは、
軸距 L 、後輪輪距 Tr 、かじ取り角度 α となります。
後二輪の三輪車の場合、上記3点の数値により、最小回転半径を描く軌跡が前輪になったり、外側の後輪となったりします。
ここで 軸距とハンドルの切れ角からどちらを算出するかを判定する場合は
・・・α は 度のままで算出できます。
上式が成り立つ場合は、後軸外輪の最小回転半径を算出し、成り立たない場合は前輪の最小回転半径を算出します。
右辺の解が 0 の場合は、前輪、後軸外輪のどちらを算出しても構いません。
前輪の回転半径 Rf は
・・・α、β はラジアンに変換後計算
β は回転半径中心と前輪を結ぶ線と車輌中心線がなす角 β = 90°-α°
後輪の回転半径 Rr は
・・・α、βはラジアンに変換後計算
β は回転半径中心と前輪を結ぶ線と車輌中心線がなす角 β = 90°-α°
算出された Rf 又は Rr は、12.00m以下でなければなりません。
連結中心が後軸より前方にある連結状態の車輌
トレーラの場合、最小回転半径の数値はけん引自動車に依存することとなり、理論上の回転半径はけん引自動車の最小回転半径を上回ることはあり得ませんが、旋回中心を理論上のホイールベースの300mm(DL)後方とした時の最小回転半径を算出する様に指示されておりますので、それに則って算出することとします。
この算出に必要なデータは、下図を参照いただいた上、以下の通りとなります。
けん引車の軸距 L1 、前輪輪距の1/2 l1 、カプラーオフセット S 、被けん引車の軸距 L2 、被けん引車の後輪輪距の1/2 l2
連結時最小回転半径 R の算出
計算時に必要となる数値 LC の算出
算出された R は 12.00m 以下でなければなりません。
連結中心が後軸より後方にある連結状態の車輌
自動車の後端にヒッチメンバーなどを装着してトレーラをけん引する場合、上記の算出方法では算出される数値に誤差が生じてきます。
そのため、けん引車の後軸より後方に連結中心を有する車輌の場合、連結時の最小回転半径は算出方法が異なります。
この算出に必要となるデータは、下図参照の上以下の通りとなります。
けん引車の軸距 L1?、前輪輪距の1/2 l1?、カプラーオフセット S 、被けん引車の軸距 L2?、被けん引車の後輪輪距の1/2? ?l2?
連結時最小回転半径 R の算出
計算時に必要となる数値 LC の算出
算出された R は 12.00m 以下でなければなりません。
以上が頻度の高い最小回転半径の計算方法です。
また別の形状のものに関しては、随時アップロードしていきます。
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