動力伝達装置用

 

動力伝達装置でよく使用される強度計算の公式といえば、プロペラシャフトやドライブシャフトではないかと思います。

このような回転する軸の場合は、ねじり強度を検討するだけでは無く、その軸の危険回転数を算出する必要があります。

 

プロペラシャフトの強度計算のための公式

危険回転数の算出

危険回転数 Nc を算出するためには以下のデータが必要となります。

シャフトの外径 D 、シャフトの内径 d 、シャフトの長さ(ジャーナル間)L 、エンジンの最高回転数 Ne 、バイク用エンジンなどの様に一次減速比(トランスミッションに入る前に減速されているもの)があるものについては、一次減速比 Γ1?(ガンマ1)、トランスミッションの最高速ギア比 Γt

\displaystyle N_c = 1195 \times 10^5 \times \frac{ \sqrt{D^2 + d^2}}{L^2}

プロペラシャフトの最大回転数の算出

\displaystyle N = \frac{Ne}{ \Gamma _1 \times \Gamma _t}

以上の解より、安全率 f の算出

\displaystyle f = \frac{N_c}{N} \geqq 1.3 であること。

 

プロペラシャフトのねじり強度の算出

この場合は上記データとは別に以下のデータが必要となります。

エンジン最大トルク Q 、トランスミッションの第1速減速比 ΓL 、伝達率 η(イータ)

ここで、各寸法をmm単位で算出する場合には、トルク Q も単位を揃えなくてはいけません。

また伝達率 η は0.9 とします。

これより、プロペラシャフトのねじり応力 τ は、

\displaystyle \tau = \frac{16 \pi Q D \Gamma _1 \Gamma _L}{\pi \left( D^4 - d^4 \right) }

ねじり応力が算出されましたら、材料の諸元より、引張強度の60%を使用して、安全率を算出することとなります。

安全率はこちらの場合は 1.6 以上必要となります。

 

ドライブシャフトのための強度計算用の公式

ドライブシャフトの場合、基本的に上記のプロペラシャフトの計算と同じでありますが、最終減速比(ディファレンシャルによる減速比) ΓFが算入されます。

また、ドライブシャフトの場合通常は中実軸となりますので、算出する数式も変わってきます。

危険回転数の算出

\displaystyle N_c = 1195 \times 10^5 \times \frac{ D}{L^2}

最大回転数の算出

\displaystyle N = \frac{Ne}{ \Gamma _1 \times \Gamma _t \times \Gamma _F}

以上の解より、安全率 f の算出

\displaystyle f = \frac{N_c}{N} \geqq 1.3 であること。

 

ねじり強度の算出も同様に

\displaystyle \tau = \frac{16 \pi Q D \Gamma _1 \Gamma _L \Gamma _F}{\pi D^4 }

こちらの安全率は、1.6 以上 となります。

バイク等に使用されるチェーンの算出について

バイクなどに使用されているチェーンなどは、通常の場合メーカーより破断強度というものが表示されております。

この場合、添付資料としてその使用したチェーンの資料とともに、強度を算出することとなります。

数式はチェーンに伝達されるトルクを算出すればよく、上記と同様のデータの他、ドライブスプロケットの有効半径(チェーンローラの中心が来る位置) rから、

 \displaystyle \tau = Q \times \Gamma _1 \Gamma _L \Gamma _F \times r_1

チエーンの破断強度(仮にτΣとします)は、単位あたりの強度表示ではないため、この応力についても単位あたりの数値にする必要がありません。

この数値から、安全率を算出すれば同じこととなります。

 \displaystyle f = \frac{ \tau_ \Sigma }{\tau} \geqq 1.6 以上であること。

以上がおおよそ、よく使われる公式かと思います。

また、何か該当するような公式等見つけ次第、順次アップしていきます。

 

これらの公式は、機械工学等の公式からそのまま引用されているものというよりも、自動車用として把握しやすい様に本来の公式に多少の変形を加えたものが多いです。

実際の回転軸の危険回転数などの公式に於いては上記で紹介したような簡単な解法では算出することが出来ませんので、当社が運輸支局や運輸局などと相談の上、現在使用している公式をそのままご紹介しております。

書き間違いなどが無いように十分に注意を払っているつもりではおりますが、誤記等を発見された場合はご連絡の程をお願い致します。

 

 

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