性能・能力等計算書用

こちらのページでは、性能・能力の計算用の公式を記します。

なるべく大量の公式を掲載出来るよう考えておりますので、計算内容の説明などについては省略させていただきます。

 

 

重量分布計算の公式例

この重量分布に関する保安基準については こちら、審査事務規程については こちら

重量分布計算では、ホイールベース、空車時の各軸重と、定員、定員の座席位置、積載量、荷台オフセットから、積車時の各軸重や前輪荷重割合、タイヤの荷重割合などを算出します。

まず、重量分布の計算を行わなければ、各強度検討書を作成するにも次に進むことができませんので、一番最初の行う作業がこの荷重分布計算書の作成になるかと思います。

取り急ぎ、前一軸、後一軸の普通車やトライクについて解説いたします。

後に多軸車の計算方法をアップしていこうと考えております。

まず、定員と積載量の計算を行い、前軸にかかるモーメントの合計を算出します。

算出方法は、たとえば・・・、

M1 1列目座席 座席数 2  後軸中心からの距離 2200mm

M2 2列目座席 座席数 3  後軸中心からの距離 1300mm

Ms 荷台     積載量 500kg 荷台オフセット +150mm

の車があったとします。

ここで間違えてもらいたくないのは、測定を後軸の中心から行っていることです。

前側から測定する場合は後軸の軸重が算出されることとなりますが、積載量がある場合荷台オフセットをそのまま使用することができないため、少しですが計算が増えます。

また、定員は12歳以未満の幼児専用車両の場合は、(幼児専用席における定員数)×55kg / 1.5 で算出しますが、それ以外の場合、定員一人の重量は 55kg として計算します。

座席を測定する際のシートの位置は、シートの前端から後方へ200mmの位置となり、メーカーなどから外観4面図を入手した場合は、その4面図の中に記載されております。

特殊な場合として、横向き座席の場合はその座席長の中心位置を測定し、乗合(バス)のように立席がある場合は、その立席用面積の中心位置までの距離を測定し、それぞれの定員数に55kgを乗じて算出します。

また、荷台の中心位置となる荷台オフセットは、後軸よりも前方を「+」で表記し、後軸よりも後方にある場合は「-」で表記しますが、計算はそのまま符号を入れて算出するため、通常の場合であれば荷台オフセットが「-」の場合、算出されるモーメントもマイナスになります。

 

これを上の例に当てはめて計算すると、

M1=2\times55kg\times2200mm=242000kg\cdot mm

M2=3\times55kg\times1300mm=214500kg\cdot mm

Ms=500kg \times150mm=75000kg\cdot mm

M_{\Sigma}=M1+M2+Ms=531500kg\cdot mm

これでモーメントの総和が算出されましたので、前軸にかかる重量 Ff を ホイールベース L (仮に2500mmとします)を使って算出します。

Ff=\frac{M_{\Sigma}}{L}=\frac{531500}{2500}=212.6kg

この Ff は、定員と積載量の合計重量のうち 212.6kg が前軸にかかるということを意味しておりますので、空車時の前軸重 wf (ここでは仮に950kgとします)に、この重量を加したものが、積車時全軸重 Wf となります。

Wf=wf+Ff=950kg+212.6kg =1162.5kg=1165kg

数値は整数桁として2捨3入または、7捨8入で 5kg 刻みとする

定員の重量と積載量が既知となっているため、 Wf が算出されれば積車時の後軸重 Wr は空車時の車両重量 w (空車時前軸重+空車時後軸重)から簡単に算出できます。

定員と積載量の合計値を PΣ とし、1列目 110kg 、2列目165kg 、積載量 500kg であるため、775kg とし、車両重量を仮に 1400kg とすると、積車時後軸重 Wr は

Wr=w+P_{\Sigma}-Wf=1010kg

と、なります。

この算出方法はトライクなどの改造を行った場合、そのまま使用することが可能ですし、側車輪が後軸と同軸上にないサイドカーの場合は、まず自動二輪車側の車両中心線を前軸、サイドカー側を後軸と仮定して算出後、今度は二輪車単体として考え、サイドカーとの連結部分を定員の追加分として計算することにより、前軸、後軸、側車軸の算出が可能となります。

 

貨物車などは、その車両ごとに軸許容限度というものが決まっておりますので、この許容限度を超えて使用することができません。

普通乗用車の場合は、軸限度というものが設定されておりませんので、一般的に同型式車中で最重量車の軸限度を使用しております。

また一部の輸入車は Export Vehicle Label (運転席側のドアの縁に張られているシール)にGVWR(総限度)、GAWR FRT(前軸限度)、GAWR RR(後軸限度)が記載されておりますので、この数値をこえることもできません。

 

この計算が完了しましたら、引き続き空車時と積車時の双方での「前輪荷重割合」を算出します。

 

これは空車時、積車時の前軸重量を wf 、Wf とした時、その前軸重を 車両重量 w 、車両総重量 W で除したものが前輪荷重割合となります。

結果は % で記入するため、

空車時(積車時)前輪荷重割合=\frac{wf(Wf)}{w(W)}\times 100 ・・・( )内は積車時の場合

前輪荷重割合は、空車時並びに積車時のいずれの場合も 20% 以上でなければいけません。(三輪自動車は18% 以上であること)

 

続いて、タイヤ荷重割合の算出となります。

これは前後軸ごとに算出し、荷重分布計算によって算出された積車時各軸重より判定します。

なお、タイヤ荷重指数については、取扱商品 お役立ちツール 内の雑情報のコーナーで紹介いたします。

$$\small(積車時タイヤ荷重割合)=\frac{\small(積車状態における軸重)}{\small(タイヤ1本の耐荷重値)\times \small(計算される車軸に使用されるタイヤ本数)}\times 100$$

貨物車の場合でタイヤ限度が軸限度よりも大きい場合は軸限度からの算出となります(分母が算出する軸の軸限度となります)。

 

改造又は組立申請時にそのまま使用できるひな形を 取扱商品 お役立ちツール のページにアップロードしておきます。

 

このほか、各車両ごとの算出方法や、荷重分布計算にまつわる計算関係がありましたら、随時アップしていきます。(可能な限りです)

 

- HOME

- 構造変更一般

- 構造変更って何?

- 登録までの流れ

- 基本事項

- 計算用公式集

- 性能能力等計算書用 ⇐  Now

- 最大安定傾斜角度の計算の計算

- 制動能力の計算

- 最小回転半径の計算

- 車枠及び車体用

- 原動機用

- 動力伝達装置用

- 走行装置用

- 操縦装置用

- 制動装置用

- 緩衝装置用

- 連結装置用

- 未分類・その他

- 組立申請

- 自動二輪車の改造

- 取扱商品 お役立ちツール