最低地上高・軸重について

 

最低地上高について

トレーラーの最低地上高はその実用性を考慮すると、低ければ低いほど実用性が上がるのですが、走行性能を考えると自ずと限界が出てきます。

当然のことながら、道路運送車両法においても明確に定義されており、数値的には最低地上高は地面より 9 cm 以上となります。(保安基準 最低地上高 参照)

ただし、これはタイヤと連動して上下するブレーキドラムやディスクローターの下端、緩衝装置のうちのロアアーム等の下端、また自由度を有するゴム製品の部分、更にマッドガードやエアダムスカート、エアカットフラップ等であって、その材質が樹脂製のものに於いては除くこととされており、更に衝撃に十分耐える構造のもの、あるいはアンダーカバーなどにより保護されているものに関しては5cm以上と定義されております。

実際の使用においては、最低地上高が 5 cmという場合、よく整備された舗装道路しか走行することができず、ちょっとした段差も乗り越える事ができません。

これは程度問題ですが、9 cm以上であってもそれ程変わりはなく、安心して走れるとなると、やはり経験的に15 cm以上はあったほうが良いかと思います。

レジャートレーラーの場合、砂利道や砂浜などを走行する機会も多いかと思いますので、最低地上高は可能なかぎり多めにとったほうが良いのではないかと思われます。

 

また、タイヤのエアーを抜いた状態でどこかの部分が接地してしまうような構造も避けたほうが懸命です。

これは、不意のパンクの時にスペアタイヤを持ち合わせていない場合など、緊急に近くのガソリンスタンドなどに走らせる場合、タイヤやホイールなどの回転部分以外が接地してしまうと、まず走行は不能となります。

近くにメンテナンスの可能な設備があって、営業時間内であれば良いですが、何かのトラブルが有るときというのは、大概人気の無いところで夜中などに起きるものです。

更に、リアのオーバーハングの地上高も重要になってきます。

 

リアのオーバーハング部分はけん引車がスロープなどの坂道を上がった時、トレーラの尻餅などとよく言われる現象で、オーバーハング部分が地面に接触してしまい、動けなくなってしまうことがあります。

こうなってしまうと、前方に進むことは不可能で、後退するしか無いのですが、狭い道などでやってしまうと他のドライバーにかなりの顰蹙を買ってしまいます。

大抵の場合は、急なスロープを作らなければならないような状況にある道は、道幅などに余裕がなくて作られていることが多いため、そのような場所で交通を遮断してしまうとどうなるかは想像に容易いと思います。

そのためオーバーハングが長くなるようなトレーラで最低地上高が低めのものは、観光バスなどの後端下部のように、斜めにカットされているものが殆どです。

 

軸重について

よく自作されているトレーラなどを拝見すると、セミトレーラの外観を参考として作られているものがあり、軸重についてまるっきり考慮されていないものなどを見受けることがあります。

レジャー用のトレーラの殆どは、セミトレーラの分類ではなくセンターアクスルトレーラとなりますので、セミトレーラを参考に作ってしまうと、非常に不具合が発生します。

まずセミトレーラとセンターアクスルトレーラの違いですが、セミトレーラというのはトレーラに積載される積載物の重量をけん引車側にも負担してもらう構造であり、センターアクスルトレーラの場合はその積載物やトレーラの重量の大部分をトレーラ自体が負担するという構造になっております。

そのためセミトレーラのけん引車側にも最大積載量の表示が義務付けられており、当然のことながら、同じ大型車輌でも積載可能な重量を持たないバスなどではけん引することができません。

フルトレーラの場合は乗用車などでもけん引できるように、トレーラに掛かる重量はトレーラ本体で負荷する構造のため、けん引車側には坂道でも引っ張ることができるけん引能力や、安全に停止することができる制動能力などしか問われず、積載に関するけん引車への定義はそれほど限定されておりません。

実際の数値で申し上げますと、センターアクスルトレーラの場合、カプラー部分(ヒッチボールと接続される部分)にかかる重量は、車両総重量の1/10以下と明確に定義されているだけで、例えばトレーラーの重量と積載の重量の合計が2000kgだった場合、カプラー部分には200kgまでしかかけてはいけませんということだけです。

そのため、セミトレーラの様に車軸をトレーラの後端に持って行くと、カプラー部分に掛かる重量が自ずと上がっていき、実際に荷物を乗せるとカプラー部分を一人の力では持ち上げることもできないほどの重量になってしまいます。

けん引車が貨物車で、積載量の範囲内であれば、さほど問題も無いでしょうが、そのようなトレーラを乗用車で引くことは非常に危険です。

カプラー部分にかかる重量があまりにも重いと、乗用車の後軸を中心に前端が持ち上げられるように力が加わり、ハンドルを切っても操舵力がタイヤに伝わらないと言う現象が起きてきます。

トレーラ連結時にけん引車が極端に尻下がりになっている場合、この可能性がありますので注意をする必要があります。

後で詳しく解説しますが、おおよその目安として、まず積載スペースや居住スペースの長さを計って、その中心よりちょっと後方に車軸を取り付けると、バランス的に調度良い乗り心地になりますが、製作方法や装備品などによっても変わってきますので、実際に測定しながらというのが良いのでは無いでしょうか。

 

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