パラシュートの構造について

パラシュートの構造について

パラセーリング用のパラシュートは方向性を持っており、装着に当たって前後の向きが存在します。

また、各部にも個別の名称があり、様々な役目を担っています。

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パラシュートの本体の布で出来ている部分をキャノピーと言い、当社で取り扱っておりますサイズは24ft.、26ft.、28ft.、32ft. の4種類となります。
それぞれの推奨リフト重量は以下の範囲となります。
 
24ft. モデル ・・・ 35kg ~ 100kg まで
26ft. モデル ・・・ 40kg ~ 120kg まで
28ft. モデル ・・・ 45kg ~ 145kg まで
32ft. モデル ・・・ 50kg ~ 180kg まで
 
この重量の中には、フライヤーの装備品重量が含まれますので、単純にフライヤーの体重だけでモデルの選択をすることができません。
例えば写真やビデオ撮影のための機材などを持ち込んだ場合、フライヤー重量+撮影用機材などの設備重量 が推奨リフト重量となります。
 
適応サイズ以外で使用した場合、ミニマム重量を下回った際には、上昇速度が非常に早くなったり、回転などによる墜落などの可能性が生じ、またマキシマム重量を超えての使用は、落下速度が早くなることによる着地時の怪我の恐れなどがあります。
これは、推奨リフト重量の範囲内であってもフライヤーの体重が推奨重量に対して軽めなのか重めなのかによっても同様の傾向となりますので、フライヤーのスキルやシチュエーションも考慮し、適当なサイズのキャノピーを選択する必要があります。
 
すべてのキャノピーにはその後方に、ドライブスロットと呼ばれる排気口を有し(図中 C )、パラシュートがけん引された時に上昇する効果があります。
これは落下時にも機能しておりますので、けん引される力が無くなった時にも、前方に進みながら降下することを意味します。
 
また左右両側には、ターンスロットと呼ばれる排気口があり( 図中 D )、パラシュートがターンをする際に使用されるスロットとなり、更にその下部にはスタビライザーと呼ばれる耳が装着され( 図中 B )、パラシュートのターン時の安定性を高めています。
 
キャノピーは、約0.8平米あたり55g弱のナイロンで、リップストップ構造(碁盤の目状の裂け防止構造)で成形されており、更にウレタンコーティングにより水上で使用の際の含水や紫外線による生地の劣化を防いでいます。
 
細かく細分化された各セグメント(パネル)は、ダブルステッチの折伏せ縫いで連結され、Mil-Spec(軍規格)のシームテープにより補強され、最大の強度と耐引き裂き性を有しています。
 
また、パラシュートの外周から16本出ているラインは、サスペンションラインと呼ばれ(図中 E )、中央部の内側から2本出ているラインをセンターライン(図中 F )と呼び、どちらもヘビーデューティーダクロンラインを使用しています。
これはラインそのものが含水した時の高張力下においても、伸びが殆ど無いため安定したフライトが可能になるということです。
 
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ライザー(写真の物は実際に使用されるものと異なります)
 
先に記した図ではわかりづらいですが、図中 G の部分がライザーと呼ばれ、サスペンションラインやセンターラインが連結されている部分となります。
 
当社で取り扱っておりますパラセーリング用のパラシュートには、すべて Mil-Spec のナイロンウェビングから構成される4ライザーのシステムとなり、サスペンションライン、センターラインとも、耐摩耗性や耐腐食性からステンレス製のリングを介して取り付けられます。
 
上記写真中、下側の一箇所にまとめられた部分が牽引用のトウラインの末端、トウイングヨーク(図中 H )とフライヤーのハーネスが取り付けられる部分となります。
またライザー左右後ろ側の方は、ステアリングストラップと呼ばれ、自由降下中の左右への操舵を行うことができます(けん引中は使用しないようにしてください)。
 
続いて、図中 I が、ボディーハーネスとなり、図中ではぶら下がる形となっておりますが、当社で扱っているものはフライヤーが座ることの出来る形状となっています。
これは、座席部分のストラップと腰部分のストラップにそれぞれフライヤーを固定するための調節可能なウエストストラップと両足のストラップから構成されており、ステンレス製のクリップを介してライザーの写真中下側の部分に連結されます。
この部分も、Mil-Spec のナイロンウェビングで構成されており、抜群の強度と耐久性を持っています。
 
更にハーネスはスタンダードとデラックスの中から選ぶことが可能で、フライヤー固定用のハーネスは同一のものとなりますが、体重のかかる部分である座席ストラップと腰部分のストラップがスタンダードの3インチ(約7.5cm)から、倍の6インチ(約15cm)となっており、クッション性のパッドもデラックス仕様には装着されております。
 
いずれのハーネスも45kg程度の体重の方から100kg程度の体重の方までをホールドできるサイズとなっており、それ以外のサイズはお問い合わせください。
 
続いて、図中 J のトウラインですが、当社で販売しておりますパラセーリング用のフルセットには、600ft.(182.88m)のラインをセット内に含めております。
 
ウインチ等を使用される場合、そのウインチのキャパシティーや、フライヤーの技量、また天候や風の状態などにより、けん引する長さを調整することが可能であり、またトウラインは消耗品でもあることから、半分に切断して一方を予備として保管されることも可能です。
 
以上が主要なパラセーリング用のパラシュートのおおまかな構造であり、その全てがアメリカ国内で生産され、上記のように各部にMil-Specの部材を使用しておりますので、安心してフライトが可能かと思います。
 
上空 数十メートル 以上へ飛行するものですので、墜落事故などを未然に防ぐためにも、構造や仕組みを理解していただいた上、安心できるパラシュートのご購入をお勧めいたします。