全長・全幅・全高について

 

ここからは実際にトレーラを製作するに当たって、覚えていかなければならないことを記していきます。

「自由な発想でトレーラを作る」と言っても法治国家である以上、決められた法律やルールに従って製作されたものでなければ、いくら出来が良くてもまた使いやすくても、ただのオブジェにしかなりません。

この項では、ボートトレーラ、キャンピングトレーラ、多目的トレーラの如何を問わず、全てに共通で当てはまる決まりごとを解説していきます。

 

全長・全幅・全高について

道路を運行する車輌には寸法についての取り決めが存在します。

全長については長さ 12 mを越えることができません。

この 12 mというのは、トレーラ本体の全長であり、けん引車と合わせた全長ということではありません。

12 mのトレーラを実際に作ることは可能ですが、これは後で解説しますが、フルトレーラとしての登録となりますので、車軸をトレーラのちょうど真ん中付近に持ってこなければならないため、右左折の際にリアのオーバーハングがかなり長くなり、大型車のトレーラの運転よりも大変になってしまい、道幅の広い主要国道以外は走ることが出来ないような車両になってしまいます。

実際にこのようなトレーラを考えている方は居らっしゃらないかと思いますが、長くすればする程、居住スペースや積載スペースに自由度が増えますが、それに比例して移動の際の自由度や運転の難易度が上がると考えてください。

小型車としての登録をするのであれば、長さは 4.69 m以下に収めなければなりませんが、車検の際の検査印紙が100円程度安くなる他、自動車税が5,300円となるため普通車の10,200円と比べて4,900円ほど安くなる程度のメリットしかありませんが、積載物が限られていて、普通車にする必要が無いのであればこちらで検討されたほうが良いかと思います。

この長さには、積載物の長さは考慮されませんので、小型枠で作って積載時にトレーラの全長の1/10以下のはみ出しは認められておりますので、その範囲で収まるのであれば、小型枠で作ってしまうのもひとつの方法となります。

また、フォールディングタイプのトレーラなどの場合は、走行時には折畳まれていることが前提となりますので、キャンプ場などで展開されている状態の全長ではなく、あくまでも収納時(走行時)の寸法が車検証に記載される全長となります。

foldingtrailer1

フォールディングトレーラ

これは、キャンピングトレーラに限ったことではなく、例えばクレーンを装備したトレーラを製作した場合でも、クレーンを収納した状態がそのトレーラの寸法となります。

このことは後から解説する全幅や全高についても同様のことが言えますので理解しておいてください。

全幅については幅 2.5 mを超えることができません。

よく重機を運搬しているトレーラなどで、幅 3.2 mなどというものがありますが、このような車輌は事前に使用する道路の許可や申請などの諸手続きを行っており、あくまでも特殊な用途のものですので、一般の用途に使用されているもので、通行に関して道路使用許可などの申請などを行わなくて良い物とするためには、幅の上限が 2.5 m以下となります。

積載時にはトレーラの全幅から 1.0 m以内の幅は認められておりますが、もちろんその最外側が何処にあるかを、対向車や後続車に夜間に於いても明確にわかるようにする必要があります。

全高については地上からの高さが 3.8 mを超えることができません。

高さについての決まりは、電話線などが高さ 3.8 m以上のところに取り付けられている関係もあり、自動車の高さを 3.8 m以上にすることができません。

レジャー用のトレーラの場合、幅や全長もさることながら、この高さを限界の 3.8 mに設定すると、横風の影響を受けやすく、最悪の場合横転なども起こりうる他、走行できる範囲が著しく制限されることとなるため、あまり実用的ではありません。

これは、オートキャンプ場やマリーナの斜路などを利用する場合、各施設に於いて独自の高さ制限などを設けているケースがあり、また主要国道など以外では独自の高さ制限を設けているトンネルや橋梁なども存在します。

その為高さをギリギリの上限に設定することは、余計な迂回などを招く原因ともなるため、トレーラの全高は可能なかぎり低くしたほうが、使いやすいトレーラとなるでしょう。

キャンプ場などの場合、設定された高さ制限の他にも、樹の枝などが頭上に存在するケースというのは多々あります。

トラックが頻繁に出入りするような場所ではそのような枝が手入れされている場合もありますが、キャンプ場のような自然を残しているところでは、期待できません。

寸法に於いては大きなものほど、積載物や室内居住空間等においてその自由度は広がり、後々の拡張性も自由にはなりますが、先にも申し上げました通り、その寸法が増えるごとに運転するに当たっての難易度も上がります。

私も以前運送の仕事に携わっていたことがあるのですが、車が長くなればなるほど、幅が広くなればなるほど、高さが高くなればなるほど後方の状況が気になり、前方の道路状況の他にも気をつけなければならないところが出てきます。

長さのある車の場合においては当然のことながら、巻き込みの確認の他リアオーバーハングの振り幅も大きなものとなります。

ハンドルの切り方にもよりますが、大型トラックの場合最大でおおよそ1.5m程外側にオーバーハングが振ります。

また幅がある場合は、中央線よりに走ってくる対向車や、路側帯側を走行してくるバイクなども気になりますし、右左折の時なども幅があるため左右の他の車輌の位置関係も気になります。

また高さが高い場合、都市部から外れると、母屋と離れの間で住人が引いた様なローカルな電線があったり、トンネル内では、横の幅だけでなく、左上の角も気にしなければ、トンネルの壁の上方に擦ってしまう可能性もあります。

場所によってはちょうどトンネルの照明がその位置にある場合もあります。

このように注意しなければならないところが沢山ある場合、運転による疲労度というのは二次曲線的に増えるもので、楽しいはずのレジャーがただ疲れに行っただけとならないためにも、適度なサイズを考慮することが良いのではないかと思います。

一度作ってしまえば、要領を把握でき、二度目はもっと早い期間で新しいものに作り変える事ができます。

そのようなことが可能となるように当社では耐久性の高い足回り部品を提供しているつもりですので、最初の一台は小手調べの感覚でご自身の必要とされる寸法のトレーラから製作することをお薦めさせて頂きます。

 

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