車輌の製作

 

構造変更というのは、強度検討書を作成するのが主目的では無く、改造した車輌を登録するための手段となりますので、まずはその主役となる車両の改造を行わなくてはいけません。

 

ただ、思いつきやなんの計画も持たずに車輌製作を行ってしまうと、完成してから強度不足に陥ったりそれを補強する目的であれやこれやを追加することにより、本来意としていたデザインから大幅にかけ離れてしまったりなどということも、決して無いことではありません。

 

では、最初に強度検討書を作成すればよいのかというと、これがまた重量が考えていたよりも重くなってしまったり、本来の寸法よりも長くなったり短くなったり・・・

 

結果、指定部品の解説のページで記しております製作誤差の範囲を超えてしまい、検討書そのものの作りなおしということになりかねません。

 

そのため車輌製作時に於いて、ある程度事前に強度について調べておく必要があり、強度的に余裕のあるものを使用するように心がけることによって、車輌完成後の強度検討書の作成なども効率よく進むこととなります。

 

また、交換する部品などが手元に届くと、すぐにでも交換してしまいたくなる気持ちになりますが、まずはその部品の単体の写真を撮ることや、強度検討を行うにあたって必要となる寸法などを控えておくことが後の作業を格段に楽にすることを覚えておいていただきたいと思います。

 

これから構造変更を業務の一環として取り入れようかと考えている業者様にあっては、まず取付ける部品が入荷した時点で、検品を兼ねながらCADなどに図面を起こすのが良いのでは無いでしょうか?

CADに正確な図面を起こすためには、強度検討に不要な部分までも採寸しなければならず、手間がかかるように考えられがちですが、後々その図面を強度検討書の挿絵として使い回しが出来たりと、決して時間の浪費だけで終わることは無いかと思います。

複雑な形状をした部品を言葉で説明するのはとても大変ですが、そのような図面があると矢印を加える事などによって簡単に説明が付き、書類審査する検査員の方も感覚的に把握しやすいため、決裁が下りる時間が短縮されたりと良いことの方が私は多いと考えます。

何より車輌に装着される前ですので、汚れもなく各部の寸法を計測するにも簡単に測定することが可能です。

私はPCの横にノギスやスケールを常備しており、新しい部品が入荷した時点で、改造申請の容・不要にかかわらずCADに起こして必ず保存しております。

 

CADのソフトは3D対応の専門的なものとなりますと数十万円するものまでありコストパフォーマンスが合わないと思われるかもしれませんが、JW_CAD 等フリーソフトの割にはかなり高機能なものも存在しますので、使いこなせるようになることをおすすめします。

JW_CADのサイトは、こちらになります。

 

ある程度車輌の車体改造などを行っておりますと、感覚的に強度不足なのか大丈夫なのかということがわかってきますが、まだ初めて間もない状態ですと計算をしなければ自信を持って大丈夫ということは出来ないのでは無いかと思います。

また、改造した箇所全ての強度を計算によって算出するのであれば、それはそれで確実ではありますが効率的ではありません。

こういう場合、その改造を行った箇所を一つのシステムとして考えて、その中で走行時や積載時などに一番強度的に弱い部分は何処になるかをシミュレートして、その部分だけの強度を検討してみれば、確定ではありませんが強度の担保も取れますし、時間もそれほど無駄にしないのでは無いでしょうか?

 

何よりもこの様に車輌製作時に強度を考えながら進めていきますと、万が一車輌完成後に強度不足となった場合でも、それほど大掛かりな補強も必要なくなることが多く、しいては時間のロスも軽減でき、デザイン的な観点や重量・寸法などの観点からも、当初の予定と大幅に異なるということを避けることが出来、またその部材を満ただけで強度的に可か否かを見極めるスキルが短時間で付くこととなります。

 

もうすでに改造してしまった車輌を算出する場合は、このような流れは大変になってしまいますが、これから車輌を作成しようと考えていらっしゃる方は、これらの一連の流れを覚えておいていただければ、挫折すること無く登録まで辿り着けることができると思います。

 

なぜ?って、この私でもできるんですから (笑)

 

 

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