強度計算書の作成

 

車輌が完成したら、強度検討書、計算書の作成となるわけですが、この部分が一番厄介な場所となります。

 

まず、以下の資料を用意していただくこととなります。

・ 車検証コピー

・ 改造した部位の記述のある主要諸元表

・ 標準車の外観4面図

・ 改造によって増加した重量の近似値を算出できない場合、各軸ごとの重量測定の結果

主要諸元表や外観4面図に関しては、メーカーのお客様サポートセンターなどに問い合わせることにより、入手することが可能です。

また、各軸ごとの重量測定は、各地にある車輌計測所で1,000円程度で測定してもらえます。

交換した部品や改造した箇所の重量増加が把握できており、計算により算出可能な場合は計算で算出した値でも構いませんが、計算値と車検時の実測値が著しく異なる場合においては、強度検討書、計算書の再申請となる可能性もあります。(製作誤差の範囲参照)

次に手をつけようにも、何処から手をつけていいのかわからないというのがあると思いますが、構造変更の分類のページでまず該当する改造が把握できたら、続いて以下の事柄をかんがえてみてください。

 

1. 標準車の重量と、改造車の軸ごとの重量に変更があるか?

変更あり ・・・ 荷重分布計算書の作成

変更なし ・・・ 2.へ進む

2. 標準車との重心高、安定幅に変更となる改造があるか?

変更あり ・・・ 最大安定傾斜角度計算書の作成

変更なし ・・・ 3.へ進む

3. 標準車とのブレーキシステムを比較して変更や、著しい車両重量の増加があるか?

変更あり ・・・ 制動能力計算書の作成

変更なし ・・・ 4.に進む

4. ホイールベースやトレッド、操舵装置に変更があるか?

変更あり ・・・ 最小回転半径計算書の作成

変更なし ・・・ 5.へ進む

5. 標準車との外観に、ホイールベースやトレッドなどを含めた変更点があるか?

変更あり ・・・ 外観4面図の作成

変更なし ・・・ 以降に進む

 

各計算書の作成のための公式や、算出方法は計算用公式集にてご紹介いたしますので、こちらで詳しくは解説いたしません。

 

上記の部分は、その改造内容により必要となる性能・能力計算書であり、それぞれに基準が設けられております。

当然その基準を満たすことが出来なければ、改造自動車等届出書(一般に言われるところの強度計算書)の決裁はおりず、登録することが出来ません。

この各基準についても、基本事項のリンクで解説させていただきますので、ここでの説明は割愛させていただきます。

 

では、なぜこれらの性能・能力等の計算書を先に作るのか?ということになるのですが、まず1.の荷重分布計算書に関して言えば、軸重が算出されるからで、様々な強度検討書を作成する場合に於いて、この軸重の占める割合が非常に多くなるためです。

簡単に言ってしまえば、例えばスプリングの強度検討書を作成しようとした時に、そのスプリングにかかる重量が把握できないのであれば、強度の算出なんて出来る訳が無いということです。

続いて1.を含めた2.以降に関してですが、こちらの場合は基準を満たすことが出来なかった場合、その修正方法は比較的大掛かりになるケースが多く、結果重量などが大幅に変更となり、それ以外に算出された強度検討書などがある場合に有っては、全て再計算の憂き目に合う可能性があるためです。

 

それ以外の部品ごとの強度検討書は、強度不足となった場合でも比較的簡単な補正で強度を満たすことが出来るため、多岐に渡ったファクターで算出される上記の性能・能力等の計算書を先に済ませたほうが良いということになるのです。

 

この流れの説明でお分かり頂けますように、上記5点を終了させた後に各部位ごとの強度検討書に取り組んでいくこととなります。

 

提出する書類は、全ての項目が該当したとした場合、提出する際に綴る順番は以下の通りとなります。

1. 1号様式その1 (裏面 1号様式その2)

2. 2号様式その1 (裏面 2号様式その2)

3. 車輌を特定する資料 (車検証や完成検査証、通関証明書等 但し組立申請の場合は不要)

4. 主要諸元要目表 (試作・組立の場合)

5. 保安基準適合検討書

6. 電気装置の要目表 (ホイールベースの延長、電気装置の改造、試作・組立の場合)

7. 外観図

8. 改造部分の詳細図 (試作・組立以外)

9. 装置の詳細図 (試作・組立の場合)

10. 車枠全体図 (車枠及び車体の改造の場合、試作・組立の場合)

11. 荷重分布計算書

12. 最大安定傾斜角度計算書

13. 制動能力計算書

14. 最小回転半径計算書

15. 車枠強度検討書

16. 動力伝達装置強度検討書

17. 走行装置強度検討書

18. 操縦装置強度検討書

19. 制動装置強度検討書

20. 緩衝装置強度検討書

21. 連結装置強度検討書

22. 燃料装置検討書

23. 電気装置検討書

24. その他の資料

 

1番、2番、4番、5番、6番については、書式が 取扱商品 お役立ちツール 内の ダウンロードページにご用意しております。

7番外観図は、メーカーやディーラー等から取り寄せた外観図を元に、変更となっている数値を書き直すことによって提出しても差し支えありません。

8から10番に関しては、一般的なユーザー様であれば、写真に大まかな寸法などを記入して提出することも可能かと思いますが、業者様など通知書を発行される場合(改造自動車等届出書提出・決裁ページ参照)は、図面を作成して添付する事となります。

11番から21番の各計算書、検討書につきましては、公式で算出できるものに関しては、計算用公式集のページにて、公式が使えない部品(算出方法が使われ方によって異なるため、その判断が必要な部品など)については、基本事項のページにて解説させていただきます。

22番、23番については構造変更の分類 ページで解説の通り、配管や配線などの詳細図を添付して検討することとなります。

24番のその他の資料は改造部分の写真や、市販される社外部品等の場合その資料などを添付することとなります。

 

 

 

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