サイドカーへの改造

 

サイドカーの定義としては、側車側の車軸に駆動力が与えられていないものとなりますので、トライクの様に後軸と同軸上に側車輪を配置していても、駆動力が伝わっていなければサイドカー扱いとなります。

サイドカーは、自動二輪車の免許となり、その排気量に応じた免許が必要となる点も、トライクと異なる点です。

サイドカーへの改造の場合、基本的には自動二輪車側に手を加える部分が無く、追加として側車をつけるということとなりますので、側車側の構造体の強度の検討が必要となります。

 

基本となる部分は、サイドカーの船と言われる部分を固定するためのフレームで、その部分に側車側の車軸が装着されます。

このような構造の場合、強度検討の算出は側車側のフレーム本体の強度(車枠強度の検討)と、側車側の足回りの強度(緩衝装置の強度検討)と、平成12年7月以前製造の車両であれば側車側のブレーキに駐車ブレーキの装着、それ以外の車両の場合は後輪のブレーキ、もしくは前輪のブレーキと連動して作動するブレーキの装着が必要となるため、ブレーキ関係の強度の検討(制動装置の強度検討)が必要となります。

 

また、サイドカーの側車輪は空車時、積車時共に車両重量、車両総重量の35%以下でなければいけません。(保安基準第5条関係、細目告示第8条 保安基準抜粋 参照)

SDC11463


通常のメーカーにより製造されたフレームの場合であれば、上写真中赤丸部分の様にターンバックルの調整ステーが付いており、自動二輪車側の傾斜角によって、多少の調整をすることは可能ではありますが、極端に傾斜させると操縦性にも影響が出てきますので、フレームから製作しようと考えている方は、可能な限り軽量に製作していかれることが良いかと思います。

自動二輪車やサイドカーくらいであれば、家庭用のヘルスメーター(体重計)などで、十分重量を計測できる範囲かと思いますので、お安いものを専用にご購入されても良いかと思います。



調べた所、最大計測量 150㎏ でコスパ 一番ではないでしょうか。

 

積車時の重量配分は、側車内の座席の位置を移動させることにより、比較的容易に重量のバランスを整えることが出来ます。

サイドカー荷重


上図はサイドカーを前方(又は後方)から見たものと、上方から見たものを書いたつもりです。

赤矢印が定員の着座位置、シート前端から200mm後方で左右中心位置が測定場所となります。

車体中心線から座席中心位置まで横方向の距離を LS 、サイドカーのフレーム幅を LF 、サイドカーフレームの前側中心から座席中心までの距離を LB、トレッドを Tr とすると、

側車側にかかる定員の重量 PS は、

\displaystyle P_S = \frac{L_S \times 55kg }{T_r} により算出されます。 (・・・定員は一人55㎏として計算します)

例えば、LS = 800mm、 LF = 1250mm、LB = 750mm、Tr = 1150mm とすると、

 \displaystyle P_S = \frac{800 \times 55}{1150} = 38.26kg

この荷重が、サイドカー側のタイヤにかかります。

定員の55㎏から、38.26㎏を差し引いた値 16.74㎏が、自動二輪車側にかかる荷重となるのですが、この時、フレーム幅 LF で自動二輪車側のフレームに固定されていたとします。

前側の固定部分(右側の図中のフレーム左側、自動二輪車との取付部)と、後側の固定部分の二箇所で受け持つこととなります。

この前側の固定部分に掛かる重量を仮にPF、後側の固定部分に掛かる重量を PR とすると、

 \displaystyle P_R = \frac{L_B \times 16.74}{L_F} = \frac{750 \times 16.74}{1250} = 10.04kg

P_F = 16.74 - 10.04 = 6.7kg となります。

ここまで算出しましたら、あとは側車側の数値を考えずに、性能能力計算書用 のページ中、重量分布計算書の項の通り算出していくことにより、自動二輪車側の前輪の荷重、後輪の荷重まで算出することが出来ます。

空車時のサイドカー側の重量は、計算で算出できなくも無いのですが、全ての使用される材料の単位あたり重量を調べて・・・などということをするよりも、先程 「amazon 」 のリンクを張りましたヘルスメーターに載せてしまえば、ものの数秒で測定できますので、その数値に算出されたサイドカー側の重量を加算すれば、積車時のカー側の重量も簡単に出てきます。

 

要は、この数値が空車時、積車時共に35%を超えてはいけないということです。

 

積車時のサイドカー側の軸重は、緩衝装置の強度検討書でも使用しますので、計算に間違いが内容に算出してください。

ここの数値が間違いとなると、提出するほぼすべての強度検討書や性能・能力計算書がやり直しとなってしまいます。

 

以降、車枠部分や、緩衝装置、制動装置などについても話を進めていこうと思います。

 

 

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