キャンピングトレーラの要点

 

キャンピングトレーラの製作

 

キャンピングトレーラの製作に関してはまず使いやすい室内レイアウトを優先的に考えることをお薦めいたします。

例えばシンクやシャワールーム、トイレなどを装備する場合は、その様な水回りのモノを前後に振り分けてしまった場合、重量バランス的には理想的かもしれませんが、いざキャンプ場などについて生活すると非常に使いづらいというケースのものも多く存在します。

左右に関しての重心位置は、バランスを考えていただき配置していただかなければなりませんが、前後の配置については多少の範囲であれば、車軸の位置の僅かな移動で対処できるケースが殆んどです。

車軸の位置についてもトレーラ全長の最後端になるというわけではありませんので、最小回転半径などにもそれ程大きく影響することはありません。

そのため住宅の間取り図のように、例えばフライフィッシングに特化したキャンピングトレーラであれば、フライタイイング用の部屋を最前端に設けるとか、サーフィンやウエイクボードに特化したトレーラであればトレーラ後部に跳ねだしのシャワーブースを設けるなど、せっかく自作されるのであれば、ご自身の趣味に特化させるほうが、市販のものよりもはるかに使いやすくなることは必至です。

間取り図が決まればおおよその重量バランスは算出することができますし、またもしそれが不可能であったとしても、おおよその重心位置に車軸を仮組みしておき、完成した後にバランスを見ながら車軸の位置を正式に決定しても問題ありません。

キャンピングトレーラに於いては、室内高が 160 cm以上必要で、50 cm× 180 cmの大きさを一人分とした1名以上分の就寝スペースが必要で、また炊事設備や水道設備の設置が義務付けられています。

 

就寝設備について

就寝設備は、幅 50 cm×長さ 180 cm以上の平坦な面が必要で、上方には「1人当たりの就寝部位毎に、就寝部位の上面から上方に 0.5 m以上の空間を有すること。ただし、就寝部位の一方の短辺から就寝部位の長手方向に0.9mまでの範囲にあっては、0.3m以上の空間があればよい」と謳われております。

これは、腰から下に当たる部分の上方空間は30cm以上あればよいが、腰から上の部分に関しては、上方に50cm以上の空間を儲けなさいということです。

その腰の位置と言うのが、長さ180cmのうちのどちらか片方から90cm以上の部分と言う事で、実際にその様な空間で寝ようとすると息苦しくてたまりませんので、現実的にはもっと余裕を持って製作されると思いますので、このような決まりがあるということだけを覚えておいていただければ良いのではないかと思います。

また就寝人員も、1名以上となっておりますので、ご家族が5名であれば、通常は5名分の就寝スペースを作られると思います。

こちらもこのような取り決めがあるとだけ、頭の隅にでも入れておいていただければと思います。

就寝設備で注意しなければならない点は、室内の有効利用のため、座席と兼用とする場合でありますが、座席と兼用とした場合は就寝設備としたときに水平にならなければなりません。

これが例えば就寝設備として他に要件を満たす就寝設備を持たない場合で、この座席兼用の就寝設備が水平にならなかったとした場合、構造要件を満たしていないということになり、登録することが出来なくなってしまいます。

もちろん、他に1名分 50 cm× 180 cmの就寝専用の設備や、水平になる座席兼用の就寝設備を備えているのであれば、その時点で要件は満たされますので、問題はありません。

 

炊事設備

炊事設備はコンロ等によって炊事作業を行うことができる設備で、カロリー等の基準はありませんので、LPガス等のボンベを積載した本格的なものや、カセットコンロ、キャンプ用品でホワイトガソリンを使用するストーブを使った物など、多様になっております。

LPガスのボンベを使用する場合、その保管方法には規定が存在し、「車室内と隔壁で仕切られており、かつ車外と十分な通気が確保されていること」また「振動等によって損傷を受けることが内容確実に取り付けられていること、また損傷のおそれがある部分は適当な覆いで覆われていること」となっております。

カセットコンロやキャンプ用のストーブの場合などで、使用しない場合に収納しておく場合は、そのコンロを設置する専用のスペースと、確実に収納することのできる収納スペースが必要となります。

いずれの場合も、火気等の熱量を発生する場所の付近には、その熱に因る火災を発生しないよう、耐熱性・耐火性を有した構造で窓や換気扇による換気設備が備えられている必要があります。

炊事設備の上方は、通常人が立って作業することが前提となりますので、床面から 1.6 m以上の天井高が必要となります。

また、調理台として 30 cm× 20 cmの調理専用の平面スペースが必要となります。

家庭で使うまな板をおけるスペースと理解いただければ良いのでは無いでしょうか。

 

水道設備

水道設備の構造要件は、給排水の水用のタンクがそれぞれ10㍑ずつ以上を有していること、洗面台には水を貯めることが出来る構造であること、となっております。

タンクの配置場所については特に規定は無く、低重心化を図るため床下に設置しても大丈夫ですが、ポリタンクなどの簡易タンクを使用し取り外しが可能なものの場合は、他の部位と明確に区別ができる専用の収納スペースが必要となります。

タンクの容量は最低が10㍑なので、例えばシャワールームを設置したもので給水タンクの容量が200リットルとしても、なんの問題もありません。

ただしシャワーにしか使用しないため、排水タンクは不要だという訳にはいきません。

給水、排水のそれぞれのタンクの容量が10㍑以上必要とありますので、最低でもタンクは2つ以上ついていなければなりません。

給水の方法については特に明確な規定はなく、給水タンクを蛇口より上方に設置し、自然落下式としても、給水ポンプを使用して電気式としても問題ありません。

キャンピングカー用の吸水ポンプは比較的高価でありますが、よくDIYショップなどで販売されているお風呂の残り湯を洗濯機に移す洗濯ポンプなどは、吐出容量も数種類あり、比較的安価なものが多いため、そちらをお薦めします。

洗濯ポンプはAC 100 Vで駆動しますが、これはAC-DCのコンバーターを使用してDC 12 Vで動作しているものがほとんどですので、AC-DCのコンバーターを外し車載の 12 Vに接続することにより、直流の12Vで使用することができます。

この場合、安全装置などが取り外されてしまっておりますので、ヒューズを設けるなどのフェイルセーフが必要となります。

水道設備が占有する面積としまして、上方からの投影面積が 0.5 ㎡以上あることと定義されておりますので、この面積を満たしていない場合は、設備の要件が満たされていても、水道設備としては認められません。

室内にポリタンク用の収納スペースを設けた場合、それは専有面積に含まれますが、床下にタンクを設置した場合は上方からの投影面積に含まれませんので、このような場合も注意が必要です。

 

その他の設備

その他キャンプをするにあたって必要と思われる設備、例えばトイレやシャワールームなどの場合、それをキャンプ用設備として専有面積に入れることは可能ですが、室内に四輪バギーを積むとかモトクロッサーを積むなどという場合、積載スペースとなってしまいますので、それらの有する面積がキャンプ用の設備が占める専有面積を上回ることはできません。

厳密に言いますと、キャンピングトレーラーの総床面積の1/2以上はキャンプ用設備で占められていなければならず、炊事設備や水道設備などの設備の全面50cmまでは作業スペースとしてみることができますので、これらの設備の面積や就寝設備、椅子やテーブルなどの固定されたものの面積の総和がキャンピングトレーラーの床面積の1/2以上なければならないということです。

この基準は容易に満たされることと思いますが、積載スペースを必要とする場合などは面積の取得に苦労することとなります。

このような場合は床面に絨毯や畳などを敷いて平坦な部分を作り、モトクロッサーなどを収納する場合はその上にシートなどを敷いて積むなどの方法を取るより他に方法はないかと思います。

床部分に絨毯や畳などを敷いている場合、就寝スペースとして計算することができますが、床材がむき出しの場合(クッションフロアーやコンパネなど)は就寝設備として認められませんのでご注意ください。

 

キャンピングカーのフレームに付いては、多目的トレーラのフレームに準じますが、可能なかぎり床面を低くした方が、キャンプ時並びに走行時に於いてもメリットが出てきまキャンピングカーの場合、どうしても側面から見た際の投影面積が大きくなってしまい、走行時の横風を受けることが多くなってしまうため、低重心化と居住性の双方を満たすためには低床化が必須項目となってきます。

その為、通常のキャンピングカーの場合、タイヤハウスを室内側にインセットし、ラバートーションスプリングのアクスルを使用するなどして、可能な限り底床化させたフレームとなることが通常です。

 

またキャンピングカーの場合、フレーム部分だけでなく上物の構造体に於いても、骨格が必要となるため居住スペースとなる空間部分は走行時の風の抵抗や、室内荷おける設備の固定などにも耐えうる程度の強度を有した骨格が必要となります。

強度的に主要な部分を鋼材などで製作し、その間に入る部分は軽量な木材を使用するなどして、軽さと強度を兼ね備える必要がありますが、基本的に窓や出入口等の開口部分は、応力の集中が起こりやすいので、その様な場所には補強を入れるか、強度のある材料を使用したり、材料の間隔を狭くするなどの対策が必要となります。

外装のパネルなどに於いてはFRPを使用するほうが最終的に安くまた、デザインの自由度も上がります。

トレーラーの外板を作成する程度であればそれ程技術が必要なわけでもなく、容易にどの様なサイズの板でも製作可能ですし、1方向に於いてとはなりますが、曲面も容易に取り入れることが可能となります。

ある程度の大きさで作るのであれば、接続部も少なくすることができ、雨漏りなどの解消にもなりますのでぜひとも利用したほうが良い材料の一つです。

 

外板のパネルが出来上がりましたら、内部工事に移る前にある程度の配線や配管の取回しをしておいたほうが、後の作業が楽になります。

従いましてこの時点までには、室内のレイアウトなどが決まっていなければなりません。

 

配線や配管の取り回しが完了しましたら、防音や保温性を考え、必要に応じてグラスウールやスタイロフォームなどの断熱材を入れ、内装の施工となります。

断熱材は必須ではありませんが、キャンプ場等での睡眠時に周りの音が気になる方や、エアコンを装備する場合、また冬期間なども利用を考えている方などは、ぜひとも使用したほうが良い材料です。

完成した後に事後工事とする場合、非常に手間がかかりますので、予め対策をとっておくのが懸命ではないでしょうか。

 

内装の壁材は住宅の場合、石膏ボードなどを使用しますが、キャンピングトレーラーでは使用しません。

なぜならば重量がある他にも、石膏が崩れやすく、振動などに弱いためすぐにボロボロのなってしまうためで、キャンピングトレーラーの内装壁材にはプリントベニヤ合板が多用されます。

これは薄いベニヤ板に予めプリントされたクロスが貼りつけられているものと思っていただければ良いのではないかと思いますが、施工も容易で様々な模様のモノが存在するため、自分好みに内装の雰囲気などをアレンジすることが可能です。

内装の壁や天井の施工が完了したら、床部分の仕上げを行い、キャンピングトレーラーとして必要な各設備の取り付けを行い、キャンピングトレーラーは完成となります。

以上で各トレーラーの骨格となるフレームやボディーの部分の概要をつかむことができたかと思います。

 

ここまで実際に製作すると、もうすでにトレーラーの全貌が明らかになっており、すでに出来上がったかの様な錯覚にさえ陥ることと思います。

後は車軸の位置を決定し、電気まわりの配線やブレーキ関係の配管などをすませばトレ-ラーとしては完成いたします。

このように、トレーラーの製作は法規的な部分を把握し、それなりの設備などがあれば、作る事自体は至って簡単な作業となります。

 

後はナンバーを取得するための書類の作成が残っているだけですが、こちらも当社のブレーキキットをご購入いただいたユーザー様には、ご心配いただくことが無いよう、当社にて書類の作成を代行しております。

ご自身で設計され製作されたトレーラーにナンバーをつけて休日を楽しむというとても素敵なカーライフを、当社で責任をもってサポートさせていただきます。

店頭に並んでいるトレーラーを購入するのも手っ取り早くて簡単な方法ではありますが、そこには万人に向けて作られたものであるがゆえに、使い勝手というものが犠牲になっているケースなども存在します。

ありきたりでは無い、本当のオリジナルというものを、この機会にどうぞご検討ください。

 

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