ねじりについて

ねじりというのは、自動車やバイクなどのほか、日常でも結構見受けられるものなのですが、単純にねじりだけというモデルだとスプライン軸などしか思い浮かばず、自動車整備などに携わっている人であれば容易に想像できるかもしれませんが、あまり縁のない人だと想像しづらい気がするもので・・・。

通常はアームやフランジなどとセットになっているものですので、無くて当然といえば当然なのですが。

そんな中でも、ドライバーやジャッキのハンドルなどだと、比較的わかりやすいでしょうか?

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ジャッキのハンドルは上写真のように、明確なアーム部分が存在します。

ドライバーの場合は、ねじりを受ける軸よりもグリップ部分が太くなっていてその部分がアームの役割を果たしています。

フランジで取付られている軸など(プロペラシャフトやドライブシャフト等)は、軸の中心から取付に使用されているボルト部分までの距離がアームの代わりをします。
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例えば上記のような寸法の場合、30㎏の力でハンドルを回したとして、それを荷重 F とします。

この時、ねじりを受ける回転軸の中心とハンドルの中心までの距離を L とすると、回転軸にかかるトルク T の間には次式が成り立ちます。

T = F ・L = 30 × 200 = 6000 kg・mm

この部分は、引っ張りやせん断 ・圧縮の時と異なり、単位が kg ではなく、モーメントの単位である ㎏ ・mm となります。

このアームからのねじりを受ける軸へのトルクがわかれば、次はまずせん断応力 τS を求めます。(後に算出するねじり応力の単位も τ となりますので、ここでは混同しないように τS とします)

τS\frac{T\times D}{2\times I_{P}}

この時、IP を 断面二次モーメント(断面二次モーメントとは異なります)とし、D を直径とします。

断面二次極モーメント IP は、断面2次モーメントで算出される χ 軸と y 軸で算出された Iχ と Iy の合計値となります。?

IP = Iχ + Iy

これより、

TS\frac{30\times 25}{2\times 61.35} = 6.11kg /mm2

 

続いて 断面係数 (これも断面係数とは異なります)である ZP を算出します。

ZP\frac{2\times I_{P}}{D}\frac{2\times 61.35}{25} = 4.908 mm3

 

ここまで算出されれば、次にねじり応力 τN (こちらの応力は τN としております) を算出することが出来ます。

τN\frac{T}{Z_{P}} =?\frac{30}{4.908} = 6.11kg /mm2

 

応力が算出されたので、安全率の算出を行いますが、この場合も材料の引張強度  σb をそのまま使用するわけには行きません。

そのため、せん断強度や圧縮強度と同様に引張強度からねじり強度 τb を算出します。

仮にこの材質を S45C とします。(引張強度 58.12㎏/mm2

τb = 58.12×0.6 = 34.87 ㎏/mm2

 

これより安全率 f は

f = \frac{\tau _{b}}{\tau _{N}}\frac{34.87}{6.11} = 5.70 ≧ 1.6以上であること。

 

ねじりの強度検討は、このようにして算出します。

 

先にも申し上げておりますが、ねじりの強度検討を行う場合だけに限らず、自動車やバイクなどに使用される部品にあっては、複数の部品で構成されているものも多く、それゆえに一つの部品で一つの強度検討ということはほとんど無く、たいていの場合はその部品を固定しているブラケットの強度検討も必要であったり、またその固定のために使用されているボルトの強度検討も必要であったりします。

 

最初のうちはなかなかコツを掴めず、また部品にかかる応力の見極めに苦労したりということもあるかと思いますが、数をこなせばそのようなこともなくなってきます。

 

強度検討書を作成するときだけに限らず、普段でも身の回りにあるものにどのような力がかかっているかを考えるのも必ずプラスになっていくことと思います。

 

わからない部分など、当社でお答えできる部分であればご協力は惜しみませんので、お気軽にお問い合わせフォームからお問い合わせください。

 

 

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