まずはここから・・・・地上でのランチ方法

地上でのランチ方法

 

パラシュートのセットが到着したら、何はともあれすぐにでも空に浮上したい感覚に駆られます。

でもちょっと待って下さい。

いきなり水上、又は砂浜から浮上する自信はありますか?

 

砂浜の場合、転倒してから引きずられて怪我をしたり、水上の場合キャノピーが水中に没して破ってしまったりと、まずはパラシュート本体を浮上させることが出来なければ、人を浮上させることが出来ないのは当然のことです。

まずは、広い空き地や砂浜等、障害物の無いところでランチさせて(膨らませて)みてください。

もちろん、その時に実際に浮上する体験をすることも出来ますので、基本的なパラシュートの操作方法を学ぶことが出来るため、まずはここからスタートするのが上達への最短ルートとなります。

 

当社ではユーザー様より修理依頼されて、修理が完了したパラシュートを必ずランチさせて浮上テストを行っております。

これも、砂浜などの障害物のないところで、各部のチェックを行ったうえでユーザー様に返却しております。

 

やり方は至って簡単、当社の近くには自動車で入ることの出来る砂浜が近くにあるため、多少風のある日にそこにパラシュートを持ち込み、適当な長さのロープを自動車のけん引用のフックに結びつけてランチさせるだけの話です。

 

一人でパラシュートの点検を行う場合は、私の場合パラシュート本体を失速させて墜落しても痛くない高さになる程度のロープの長さを設定します。

通常 フライヤーの重量とパラシュートの大きさのバランスが取れており、トーイングされることにより適度な風を受けている場合ですと、パラシュートはロープ長さの2/3程度の高度を維持します。

自動車の牽引フックにロープの一方を結びつけ、走行させるわけではありませんので、この場合の浮揚高度は風の強さにもよりますが、ロープ長さの1/3程度の高さとなります。

 

まず、ロープ側からセッティングを開始し、アンカーとなる物(例えば自動車の牽引フックなど)にロープを結び、その後パラシュートシステムのライザーを結びます。

逆から行うと、不意の風などによって、パラシュートだけが飛んでいってしまう可能性もありますので、必ずアンカー側からセッティングして下さい。

 

キャノピーをランチさせる際には、地面に下図のような形でパラシュートをセッティングします。

図ではキャノピーが真上から見たような円形の状態になっていますが、実際は扇形状になり、L(R)5~L(R)8の部分は折り込まれてL(R)1~L(R)4と重なっている状態となります。

この呼称はフライヤーがハーネスに連結された状態で見て、右側の一番前方に来るサスペンションラインをR1、左側をL1とし、後は順にR(L)2,R(L)3・・・・と続きます。

 

Pline

地面に扇状に置かれた状態で、風が進行方向と正対する方向で吹いているのであれば、キャノピーが地面に置かれたままでも、サスペンションラインの左右1~3の6本を上方へ持ち上げ、キャノピー内部に風を送り込むように仰いでやることによって、キャノピーはいとも簡単に浮上します。

ただし、この状態でキャノピーを浮上させると、ロープの編み込みが引かれることによるネジレが発生し、キャノピーが回転してしまい、図中4~8の間にある排気スロット(空気を逃がして上昇するための排気口)が下方から上方に回転した時に、浮上する力が降下する力へと変わり、すぐに墜落してしまいます。

これを防ぐためにライザーに付いているストラップ取り付け用の金具にある程度の重量をかけておく必要があります。

ストラップ取り付け用の金具は、R(L)の5~8番のサスペンションラインに連結されているため、R(L)1~4は上昇する方向へ、5~8は重量がかかっているため下方へとバランスが取れ、キャノピーの回転を防ぐこととなります。

フライト時は、ここの部分にフライヤーの体重がかかっているため、トーイング中はキャノピーは回転せずに上昇を続けるわけです。

フライヤーが1~3のサスペンションラインを持ち上げ、キャノピーのランチを行う場合は、ライザーの中間位置に立ち進行方向を向き通常のフライト状態と同様に左右のストラップを連結します。

この状態でサスペンションラインをネジレないように持ち上げるためには、ちょうどランドセルを背負うような感じで肩越しにパラシュートを背中にして腕を持ち上げるような格好となります。

これは、砂浜などからジェットスキ―でテイクオフするときの基本的な格好となります。

 

キャノピーの大きさと風速が適当な範囲内であれば、キャノピーがランチした直後に、フライヤーは何もせずとも上方へと浮上します。

 

この時ウインチなどの使用が可能で、ロープをウインチに収納している場合などは、ロープを伸ばすことによって高度を上げていくことが可能で、ロープの長さを長くすることが出来る場合は、上空でステアリング操作を行うことが可能となります。

ロープの長さが短い場合は、長い場合と比べて方向を変えようとする力が小さくなるため(正確には風向きに対する角度の変化が大きくなるため大きな運動量が必要となるため)、ステアリング操作を行ってもそれほど旋回することが出来ません。

 

ステアリング操作を行う方法は、リアライザーを下方向に引くだけで、左側のリアライザーを下方へ引けば左側に旋回を開始し、右側のライザーを下方へ引けば右側に旋回を開始することとなります。

これは、引かれたライザー側のターンスロット(4~6に付いている排気口)が潰されることによって、排気ができなくなり、引かれていないライザー側の排気のみが有効となるため前方へ進もうとする力が働き、旋回を開始する仕組みとなっているためです。

また、両方のライザーを引くことによって、ターンスロットの両方が塞がれることとなり、キャノピー内に保有する空気量が多くなるため上方へ浮上しようとする力が発生します。

ジェットスキーなどでフライトした後の砂浜などへの着陸の場合で、トーイングスピードがない場合、毎秒2~3m程度で降下してきますので、着陸する寸前に両方のリアライザーを引くことによってソフトにランディングすることが可能となります。

 

さて、一人で浮上した場合、着陸するには風が止むまで待たなくてはいけないのでしょうか?

そんなことはありません。

ただ、浮上しているものを降下させるというのは、度が過ぎると降下から墜落へと変わってしまいますので、慎重に行う必要があリます。

いずれにしましても、ライン操作による降下を行う際は、飛行高度が低い状態の場合のみとし、高高度での浮上を行う際は、ウインチなどの巻き上げ装置を使用することが出来る状態を整えてから行って下さい。

 

ライン操作による降下方法は2通り。

 

一つ目はセンターラインを引いてキャノピー内の空気を抜いていく方法。

センターラインとは、ボートなどで水上にランディングしてしまった場合などのパラシュートの回収の際に使用するラインで、上図キャノピーの中心部分にある赤色の米印状の部分から出ているサスペンションラインより若干太めの2本のラインで、この部分を引くとキャノピー内に抱える空気の量を少なくすることが出来るため、降下していくというものです。

ただし、これによる降下は慎重に行えば降下率を調整することが可能なため、比較的安全に降下が可能なのですが、風の状態によっては一番空気の力がかかっている部分を引かなければいけないため、かなりの力を必要とします。

しかしながら力任せに強引に引けば、キャノピー内の空気を一気に排出してしまい、墜落へとつながりますので低い高度にてのみ行うようにして下さい。

 

もう一つの方法は、フロントのサスペンションラインを引いてキャノピーの前側を潰して失速させる方法です。

これは、通常のフライト中に絶対に行ってはいけません。

キャノピーの前側を潰すというのは即 墜落を意味することで、修理済みのパラシュートの点検などで自動車に結びつけているロープの長さが短く、現在上がっている高度が低い場合のみだけ使える方法で、着陸点が比較的柔らかく、仮にその高度から飛び降りたとしても怪我をしないという状況の時だけの方法として、失速初盤は降下率が比較的ゆるいことから、低高度の時の最終手段としてとお考え下さい。

 

ウインチなどの使用については、ボートによるトーイングの場合も同じなのですが、ウインチ自体に直接トーイングする力が掛からないように、トーロープを何処かで一度殺す必要があります。

ロープを殺すというのは、エイト環とカラビナ等を使用したりクローブヒッチなどによって、パラシュートとウインチの間に一度固定部分を作り、その固定部分より先に元の力(この場合はパラシュートが風に引かれる力)が伝わらないようにすることを言います。

こうすることによって、万が一ウインチの破損などが起きたとしても、フライヤーが制御不能になるということは無くなります。

 

ウインチによるランチでの簡単な方法としては、ボートトレーラーによく使用されるハンドウインチなどを使用し、ウインチドラムに3~4回程度ロープを巻き付けます。

この状態でパラシュートと反対側のロープにテンションをかけながら緩めたり締めたりすれば、ロープの摩擦によりかけるテンションもパラシュートを引く力の数分の一まで減衰されますので、比較的簡単に高さを確保できます。

ただし、テンションが抜けてロープが滑った時でも、ある程度以上の長さはロープが出ないように、安全マージンを必ずとっておくようにして下さい。

溶接機などをお持ちの場合であれば、自動車のヒッチメンバーに簡単に取り外しできるようにハンドウインチ固定用のブラケットなどを作っておくことによって、初めてフライトされる方などへの操縦方法のレクチャーなどにも使用できるのでは無いでしょうか。

 

このように地上でのランチは、ジェットスキーでフライトされる場合においても、またボートなどからテイクオフ、ランディングする場合においても、基本となることを比較的安全に体験することが出来ますので、実際のトウビークルを使ってトーイングする前に必ず行うようにして下さい。

 

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