トレーラの基本知識

 

現在、トレーラは以下の種類に大分類されています。

第一種トレーラ

セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 0.75t (750㎏)以下のものを言い、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 0.75t (750㎏)以下のものがこのトレーラに該当します。

第二種トレーラ

セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 0.75t を超え、3.5t 以下のものを言い、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 0.75t を超え 3.5t 以下のものを言います。

第三種トレーラ

セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 3.5t を超え、10t 以下のものを言い、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 3.5t を超え 10t 以下のものを言います。

第四種トレーラ

セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 10tを超えるもの、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 10t を超えるものを言います。

 

形状での分類は以下の3種に分類されます。

フルトレーラ

フルトレーラとは、少なくとも二軸の軸を持ち、車両に備えられたタイヤなどの走行装置により、トレーラ本体の重量を支えることが出来るトレーラを言います。

セミトレーラ

セミトレーラとは、連結装置が負荷する垂直荷重の値が、該当トレーラの車両総重量の10%を超えるトレーラを言います。

センターアクスルトレーラ

センターアクスルトレーラとは、積載物が均等に積載された次自動車の中央付近に全ての車軸が位置するトレーラで、且つ連結装置に掛かる垂直荷重が、該当トレーラの車両総重量の10%以下のトレーラを言います。

ここで紹介、解説するトレーラは、上記 第一種から第四種の分類中、第一種と第二種のものに付いて、また形状による分類ではセンターアクスルトレーラについて行いたいと思います。

上記、第一種トレーラと第二種トレーラについて、更に免許や装備により以下の分類に分けることが出来ます。

~車両総重量 750㎏ 以下のもの

けん引車の重量がトレーラの車両総重量の2 倍以上ある場合は、連動ブレーキの装着が省略可能で、サージブレーキ(走行時にけん引車との連結が外れた時に自動にかかるブレーキ)を、安全チェーンやワイヤーで代用することが出来、さらにスプリングの装着を省略することが出来ます。

最大積裁量は、軽自動車規格のものは上限が350㎏まで、小型・普通規格のものは車両総重量が750㎏を上限として、50㎏刻みで設定できますが、貨物車の場合、積載量100㎏以上は確保しなければなりません。

免許は普通免許以上(自動二輪車でけん引する場合は運転する自動二輪車に適した免許以上)で運転可能です。

~車両総重量 1500㎏ 以下のもの

連動ブレーキの装着が必須となり、一軸のトレーラに限りサージブレーキの代わりとして安全チェーンやワイヤーで代用可能、スプリングの装着の省略可能、最大積載量は車両総重量1500㎏を上限として50㎏刻みで設定できます。

免許は 普通免許以上 + ライトトレーラー限定免許以上 で運行可能です。

~車両総重量 1990㎏ 以下のもの

連動ブレーキの装着が必須、サージブレーキの装着が必須、スプリングの装着の省略可能、最大積載量は車両総重量1990㎏を上限として、50㎏刻みで設定出来ます。

免許は 普通免許以上 + ライトトレーラ限定免許以上 で運行できます。

~車両総重量 3500㎏ 以下のもの

連動ブレーキの装着が必須、サージブレーキの装着が必須、スプリングの装着が必須となり、最大積載量は車両総重量 3500㎏ を上限として50㎏刻みで設定できます。

免許は 普通免許以上 + 第一種けん引免許以上 が必要となります。

ただし、最大積載量が 3000㎏ を超えてしまうと、新中型免許(旧普通免許)以上となります。

 

用途で分類しますと、貨物、特種(ボートトレーラ、スノーモービルトレーラ、キャンピングトレーラ、ケータリングトレーラ、その他)に大別できます。

貨物トレーラは、荷台が平坦で積載物を限定しないトレーラを言い、この車両の場合、リアのオーバーハングは連結中心から後軸中心までの距離の1/2〈普通車)、11/20(小型車)以内でなければいけません。
ただし、積載物を限定(車載専用等)とした場合、構造要件 を満たせばリアのオーバーハングは連結中心から後軸中心までの距離の2/3までとることが出来ます。

この時の後軸中心というのは、多軸車の場合は後後軸となります。

特種トレーラは荷室内に専用設備が設けられており、限定した積載物や、限られた用途専用に製作された車両を言います。

この場合、オートバイトレーラや、スノーモービルトレーラなどの場合は通常通り積載量を設定することが可能ですが、ケータリングトレーラ等の一部の車両については積載量の上限がありますので、構造要件?より確認することが必要です。

 

トレーラの分類として、おおよそこの程度のことを把握していれば、組立申請を行う際も、また車両を製作する際においても、基本的なことはつかめるかと思います。

次にトレーラの維持費等に付いてお話します。

 

トレーラーを保有するということは、最低でもトレーラーの他にもそのトレーラーをけん引するけん引車が1台必要になります。

ボートトレーラーなどを別として、キャンピングカーなどの場合、トレーラータイプのキャンピングカーを購入するか、自走ができるキャンピングカーにするかで迷われるケースが往々にしてあるのもこの為ではないかと思います。

例えば駐車スペースに余裕があり、金銭的にも不自由がないのであれば、それぞれ一長一短がありますので、必要なものを必要なだけ揃えれば良いのでしょうが、なかなかそのような全てを満たす環境におられる方は少ないと思われますので、どちらが自分の用途に向いているかという判断材料になればと思い、トレーラーの維持費について解説をさせていただこうと思います。

 

キャンピングトレーラ

キャンピングカー

自動車税

5,300円 10,200円/年

23,600円~88,800円/年

※1

車検

重量税

8,200円~65,600円/2年

※2

自賠責保険

4,650円/24ヶ月

34,900円/24ヶ月

検査印紙

2,000円~2,100円

任意保険

被けん引車に付随

新規契約

※3

その他

メンテナンス費用

メンテナンス費用、燃料代

※4

 

※1 自動車税 (キャンピングカー)


排気量

1㍑以下

1.5㍑以下

2㍑以下

2.5㍑以下

3㍑以下

税率

23,600円

27,600円

31,600円

36,000円

40,800円



排気量

3.5㍑以下

4㍑以下

4.5㍑以下

6㍑以下

6㍑超

税率

46,400円

53,200円

61,200円

70,400円

88,800円




キャンピングトレーラーの場合は小型トレーラーが5,300円、普通トレーラーが10,200円となりますが、自動車税は地方税のため、地域によって税率が変わりますので、各都道府県税事務所にお問い合わせください。


※2 重量税 (キャンピングトレーラー・キャンピングカー) 平成26年6月16日現在 減税なし、13年経過前


車輌総重量

1t以下

~2t

~3t

~4t

税率

8,200円

16,400円

24,600円

32,800円




車輌総重量

~5t

~6t

~7t

~8t

税率

43,200円

49,200円

57,400円

65,600円



※3任意保険

任意保険は、キャンピングトレーラの場合、けん引車側に任意保険が架けられている場合、けん引車側の保険を適用させることができるため、新たに任意保険に加入する必要がありません。

これは、自動車保険に被けん引自動車の分類が無いことからもわかります。

キャンピングカーの場合は、新たに契約をしなければならず、よくお問い合わせを頂く「他車運転保険で適用にならないのか?」という件ですが、これは「契約者および配偶者が所有していない車」でなければなりません。

そのため、仮に家族名義にしたとしても、他車運転特約などの適用にはなりません。

今のところ、外資系等の走行距離に応じて保険料が変更となる保険のほか、2ヶ月や3ヶ月の短期契約をするなどの他に保険料を節約する方法は見当たりません。

兄弟や親類などの名義にすれば他車運転特約の対象とはなりますが、お互いに信頼関係を築きあげていなければならず、逆に些細なトラブルから信頼関係を損なうことにもなりかねませんので、あまりおすすめすることはできません。



※4 その他 (キャンピングトレーラ・キャンピングカー)

キャンピングトレーラの場合もキャンピングカーの場合も、車輌を維持するにはそれなりのメンテナンスに係る費用というものが発生します。

エンジンを持たないトレーラーの場合、そのメンテナンスのほとんどが足回りのグリスアップであったり、ブレーキ関係のメンテナンスでしかありませんが、キャンピングカーの場合はエンジンオイルの定期的な交換やファンベルトや距離を走ればタイミングベルトなどの交換、それなりに室内空間を有したものの場合はトラックベースとなることが多く、同じ室内空間を有するものを比較すると、装着されるタイヤの数はトレーラーのものよりも通常は多くなります。

そのため、使用頻度が上がれば上がるほど、タイヤの交換率も上がってくるのですが、トレーラーの場合、タイヤが負荷する重量が、自走するキャンピングカーの重量の比ではなく、それにより一般的な乗用車用のタイヤで代用もできるため、タイヤに掛かるコストも抑えることができるのですが、トラックなどをベースとしたキャンピングカーの場合は、ライトトラックやトラック用の専用タイヤでなければ、車検の取得ができないケースも有ります。

トレーラの場合は二軸もあればモーターホームの様なかなり大きなキャンピングトレーラーの製作も可能ですが、トラックをベースにすると、同じニ軸となっても後輪がダブルタイヤとなっている事が殆どなため、トレーラーのタイヤよりも高額なタイヤをトレーラーよりも多く購入しなければなりません。



同様にボートトレーラーについても一覧をあげてみることとします。



ボートトレーラー (積載量1500kg 車両総重量1990kgの場合)




ボートトレーラー

自動車税

10,200円

車検

重量税

8,200円/年

自賠責保険

4,630円/12ヶ月

検査印紙

2,100円

任意保険

被けん引車に付随

その他

メンテナンス費用



詳細については、キャンピングトレーラーに準じます。



続いて、多目的トレーラーとトラックに付いての比較を行います。

例として2t積載の三菱キャンターSKG-FBA20(標準ボデー全低床)と、同程度の荷台面積を持ち、同じ2t積載とした場合のトレーラーの比較を行います。














多目的トレーラー

キャンター

自動車税

5,300円/年

11,500円/年

※1

車検

重量税

11,400/年

25,000円/年

※2

自賠責保険

4,630円/年

17,270円/年

※3

検査印紙

2,000円

任意保険

被けん引車に付随

新規契約

その他

メンテナンス費用

メンテナンス費用、燃料代他



※1 自動車税 (貨物自動車 自家用)


車輌総重量

1t以下

~2t

~3t

~4t

税率

8,000円

11,500円

16,000円

20,500円



車輌総重量

~5t

~6t

~7t

~8t

税率

25,500円

30,000円

35,000円

40,500円

多目的トレーラーの場合は小型トレーラーが5,300円、普通トレーラーが10,200円となりますが、自動車税は地方税のため、地域によって税率が変わりますので、各都道府県税事務所にお問い合わせください。



※2 重量税 {貨物自動車(トレーラー含む) 自家用 一年車検車 平成26年6月16日現在}


車輌総重量

1t以下

~2t

~2.5t

~3t

税率

3,300円

6,600円

9,900円

12,300円




車輌総重量

~4t

~5t

~6t

~7t

税率

16,400円

20,500円

24,600円

28,700円



※3 自賠責保険(金額は本土算出、平成26年6月16日現在)

貨物自動車の自賠責保険は、積載量が2tを越えるか、2t以下かで分類されており、自家用の場合2t超の12ヶ月契約で35,260円、2t以下の12ヶ月契約で23,920円となります。

トレーラーの場合その用途や重量に関わらず、12ヶ月で4,630円、24ヶ月で4,650円となります。12ヶ月と24ヶ月の金額差が20円しか無いため、24ヶ月で契約した方が得となりますが、車検有効期限に合わせなければいけませんので、有効期限が1年であれば12ヶ月〈13ヶ月)契約ということになります。



このように記載すると、トレーラーにはデメリットが無いように感じられるかもしれませんが、トレーラーにも唯一欠点があります。



それは高速道路の料金が割増となってしまうことです。

日本高速道路NEXCO(ネクスコ)の料金体系が、車輌のナンバー区分と車軸数で算出しているため、けん引車とセットで走ることが必要となるトレーラーに於いては、軸数で大型料金となってしまいます。

これは隣接軸距が1mを超える2軸になると更に顕著に現れ、特大型料金となります。

高速道路を多用される方に於いては高速料金の比較なども必要になってきます。

以上がトレーラの維持費についての解説となります。



この他、トレーラの基本的な知識についての情報がありましたら、順次アップしていきます。





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